旧藤田家別邸洋館

🔖:スポット

旧藤田家別邸洋館

きゅうふじたけべっていようかん

  • 赤い屋根の下で、時間が止まる

    1921年築の洋館が今も現役って、よく考えたらすごくない?ステンドグラスに暖炉、格子窓——大正という時代がそのまま建物になったような場所が、弘前にある。

  • 岩木山を眺めながらアップルパイを食べる権利、ある

    サンルームの窓際席という、この世でもっとも正直な特等席。庭園と山を肴に、弘前市内の名店から届くアップルパイを食べ比べる午後。これを「贅沢」と呼ばずして何と呼ぶ。

  • 初代会頭の別邸に、320円で入れる話

    日本商工会議所の会頭が「里帰り用に」建てた洋館。しかも冬は無料開放(高台部と洋館のみ)。ウェス・アンダーソンの映画みたいな赤い三角屋根の前で、そういう事実と向き合うのも悪くない。

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📝 知っておきたい基本のキ

住所
日本 | Japan 〒036-8207 青森県弘前市上白銀町8−1 旧藤田家別邸 洋館 Map ↗
HP
https://www.hirosaki-kanko.or.jp/details.html?id=CNT00404021042447724
定休日
大正浪漫喫茶を含む洋館は通年開館(休館日なし)
通常開園:4月上旬~11月23日
冬期開園:11月24日~4月上旬
(冬期開園は高台部と洋館のみとなり、入園無料)
営業/開催時間
9:00~17:00
入場料
入園無料
SNS
https://www.instagram.com/fujita_memorial_garden/
備考
駐車場:60台(無料)

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🔍 ひとこと解説

弘前に来て、桜だけ見て帰るのはもったいない——そう気づいたのは、藤田記念庭園洋館の前に立ったときだった。赤いとんがり屋根が青空に突き刺さるように立つこの建物、築100年超とは思えないほど堂々としている。1921年、大正10年に建てられた洋風別邸。岩木山を借景にした高台の庭園を持ち、国登録有形文化財にも指定されているにもかかわらず、どこか気取っていないのがいい。「文化財です、緊張してください」という空気が、ここにはない。館内に入ると、当時のステンドグラスが光を散らし、暖炉が鎮座し、格子窓が庭を切り取っている。インテリアとしての大正時代。リノベカフェが「レトロ感」を演出するために頑張っているのとは、やはり話が違う。本物の時間の重さというのは、どうやら壁に染み込むらしい。
「大正浪漫喫茶室」という名前もどうかと思ったが(少し盛りすぎでは?)、サンルームの窓際席に座って岩木山を眺めた瞬間、その名前を許してしまった。アップルパイの食べ比べという、青森でしか成立しないアクティビティに夢中になっていると、いつの間にか1時間が過ぎている。これが「弘前じかん」の正体かもしれない。藤田謙一という人物を知っているだろうか。弘前出身で、日本商工会議所の会頭をも務めた実業家。明治から大正にかけて日本の商工業を引っ張ったその人が、里帰り用にと作ったのがこの場所だ。館内の資料室を覗けば、ひとりの人間が積み上げた歴史の輪郭が見えてくる。観光地にしては、少し真剣な時間。でも、それが悪くない。
冬季は高台と洋館だけの公開になり、しかも入園無料になる。雪をかぶった庭園と赤い屋根の組み合わせは、もはや絵葉書を通り越してシュールレアリズムの域に達する。これを見た人だけが得をする、というやつだ。JR弘前駅からバスに乗って「市役所前」で降り、5分歩くだけ。320円払うだけ。それで大正時代が始まる。コスパという言葉を軽々しく使いたくないが、これは使ってもいい場面だと思う。

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