旧秋田商会ビル

🔖:スポット

旧秋田商会ビル

きゅうあきたしょうかいびる

  • 洋風の扉を開けたら、そこは書院造だった。

    外から見ると、完全に近代的なオフィスビル。なのに階段を上った瞬間、急に格調高い和室が現れる。この振れ幅、知らずに来ると普通に声が出る。

  • 屋上パーティ、100年前からやってました

    屋上に日本庭園、離れ座敷、そして料理を運ぶダムウエーター。下関港を眺めながらの宴会を、大正時代の豪商は100年以上前にやっていた。先取りが過ぎる。

  • 和と洋、二人の匠の"夢のコラボ"建築

    設計者は西澤忠三郎が担当したと最近になって判明し、和風建築部分は京阪神で活躍していた宮大工の後藤柳作が手がけたと推測されている。明治から大正へ、建築の進化史がここにある。

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📝 知っておきたい基本のキ

住所
日本 | Japan 〒750-0006 山口県下関市南部町23−11 下関観光情報センター 旧秋田商会ビル Map ↗
HP
https://www.japanheritage-kannmon.jp/bunkazai/index.cfm?id=29
定休日
火曜日・水曜日・12月29日~1月3日
営業/開催時間
10:30~15:00(最終入館14:40)
入場料
入館無料

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🔍 ひとこと解説

唐戸の港に面した白いビルを最初に見た瞬間、「古い建物だな」で通り過ぎてしまう人も多いかもしれない。でも少し立ち止まってほしい。大正4年(1915年)竣工。西日本で最初期の鉄骨鉄筋コンクリート造の事務所建築、旧秋田商会ビルだ。1階の純洋風の事務空間にいったん「なるほど」と納得したところで、階段を上ると全く別の顔が現れる。重厚な書院造の和室。まるでウェス・アンダーソンの映画に出てくる「表と裏でまったく違う顔を持つ建物」みたいに、外観と内側のギャップがとにかく面白い。
しかもこのビル、細部のこだわりがやばい。屋上には日本庭園と離れ座敷があり(現在は非公開なのが惜しいのだが)、そこまで料理を運ぶための小型エレベーター=ダムウエーターが設置されていた。和風シャンデリアを自在に昇降させる装置、華やかなタイル張りのトイレや浴室。これ全部、110年以上前の話だ。「最新技術、全部入れてやろう」という秋田寅之助/寅之介のノリが会ったこともないのに伝わってくる。下関港を一望しながら屋上で宴会を楽しんでいたというエピソードも、なんだか憎めない。
関わった人々のバックグラウンドも濃い。設計の西澤忠三郎は九州大学を建設していた事務所に所属しており遼東半島につくられた関東州の関東都督府に移り大正期まで勤め、このビルに携わり、和の空間は京阪神で名を馳せた宮大工・後藤柳作が手がけたと推測されている。現場監督は秋田の親族・新富直吉。バラバラのジャンルのスペシャリストたちが、大正という時代の熱量の中で一棟に結集した。それ自体が、もう十分ドラマチックだ。1階は現在、下関観光情報センターとして機能している。観光の情報収集をしながら文化財も見られる、一石二鳥な使い方ができる場所だ。夜はライトアップもある。昼と夜、2つの表情を見ておくとより楽しい。100年以上前の豪商が生きた証が、下関の港のそばに今も静かに立っている。「古い建物」で終わらせないために、ここは必ず中まで入ってほしい。

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